Web IT業界のビジネスモデルとは?収益を得るには?を事例で紹介!
Web業界には色々なWebサービスがありますが、自分の担当している以外のビジネスモデルについては案外知られていないものもあります。
Webディレクターとして既存のサービスのマネタイズを図る、または新規事業を立ち上げるには、どのように売り上げを作ることができるのか熟知しておく必要があります。
全く新しいビジネスモデルを作ることも今後あるかもしれませんが、まずは現状のビジネスモデルをしっかり把握しておきましょう。
以下に、代表的なビジネスモデルを、参考Webサービスとともに説明していきたいと思います。
※モデル名については私なりの分類です
※複数のモデルにまたがるものもありますが、便宜的1つのところに入れています
Web ITのビジネスモデル
Web ITのビジネスモデル① 広告モデル
広告モデルとは、どのWebサイトでも基本的に当てはまるベーシックなビジネスモデルですが、多くのトラフィックを集め、広告媒体としての価値を高め、Webサイト内の一部を広告スペースとして販売することで収益を得るビジネスモデルです。
広告スペースの使い方には大きく2つあり、「アドネットワーク」または「純広告」があります。
「アドネットワーク」とは、このブログの広告枠のように、広告枠は固定でありますが、表示される広告は、アドネットワーク運営会社が閲覧ユーザーに適したものを自動的に表示する仕組みです。こちらは様々な料金体系がありますが、例えばCPC(Pay Per Cost:クリックしたら収益発生)、単価は表示される商材や広告の形式(大きなバナーとか、テキスト広告など)によりますが、クリックあたり2,30〜100円くらいになります。
他にも広告の種類としては「インプレッション課金」「期間保証」「インプレッション保証」「PV保証」など様々なものがあります。
「純広告」とは、ある企業にある販売枠を販売し、「○ヶ月○万円」のような形で表示する広告になります。「純広告」は、表示する広告枠が決まっているので、例えばデジタル製品の通販Webサイトを運営している会社であれば、SONYやPanasonicなどのようなメーカーがターゲットになります。
こちらはPV数と、自社Webサイトがどれだけユーザーに影響力を持っているかで価格が変わってきますが、100万円単位での広告になったりします。純広告がバンバン埋まるようなWebサイト・メディアになると成功したWebメディアだなと考えることができます。
【参考サイト MERYなど、キュレーションサイト】
DeNAのキュレーションメディアがかなり炎上してしまいましたが、MERYなどは広告モデル+②の物販モデルですね。
若い女の子向けのメディアとして、記事を量産することでコアユーザーをつかみ、UU,PVを稼ぐことでアドネットワークの広告収益を得ることができます。また、「若い女の子」とターゲットがしっかり明確で、コアなファンを掴むことができていたので、「若い女の子」に広告を配信したい企業はかなりの数がいたのかと思います。
ここまでは広告モデルですが、直近では、MERYサイトで紹介された商品を購入できるようになっていたようなので、そこへユーザーを送客することでの手数料収益も今後見込めてきていたのかもしれません。(ただ、記事メディアから物販への送客モデルはなかなか成功している会社がないので、成功していたかどうかは不明です。)
MERYなどDeNAのサイトは色々ありましたが、今後どうなっていくのか注目したいと思います。
Web ITのビジネスモデル② 物販モデル
物販モデルとは、Webサイト上で商品を販売し、それが購入された際に、購入者や中間業者からの手数料によって収益を得るビジネスモデルです。大きくは「直販モデル」と「マーケットプレイス」モデルに分けて説明します。
「直販モデル」とは、事業者が自社で在庫を持ち、その商品を売るビジネスモデルです。
【参考 SONYの直販サイト】
SONYが自社のパソコンVAIOを、自社の通販Webサイトで購入者に販売することで原価と販売価格の差額を利益として得ることができます。
「直販モデル」では、中間業者がいないため、メーカーは利益を多く出すことができ、さらにユーザーに安く販売することも可能になります。
極論、メーカーが一番儲かるためには「すべての商品を直販で売ること」ですが、数を多く販売するためには小売店の力に頼る必要があります。メーカーが自社の利益を優先して少しずつ直販に移行したいと考えているかもしれませんが、小売は「そんなことするなら、今すぐに取り扱いをやめるぞ」というかもしれません。
持ちつ持たれつの関係で伸ばしてきた両社なので当たり前ですが、最近は中間業者をいかになくすかのWebサービスが多く出てきているので、今後が気になるところですね。
次に「マーケットプレイスモデル」とは、事業者はマーケットプレイスを提供し、そこに出店したお店の販売利益から一部手数料をもらうモデルになります。
【参考 楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング など】
お店は楽天上にネットショップを作成することができ、そこで商品を販売することができますが、商品を販売すると、「販売額の数%」を楽天に手数料として支払うことになります。
また、楽天は販売手数料の他に、月額数万円の出店金を収益としてもらっています。
なぜお店が、わざわざお金を払ってまで楽天に出店するかですが、ひとえに楽天の持つブランド力と集客力になります。
自分のネットショップを作ってオープンしても、きちんとお金をかけて対策なりプロモーションをしないと誰も来てくれたりしません。また、来てくれても、初めて見た個人WebサイトのようなWebサイトで購入してくれる可能性はかなり低いです。
そのため、お客を呼ぶ集客と、安心して買ってもらえるブランド力への対価として楽天に費用を支払いっているのです。
Web ITのビジネスモデル③ クリック課金モデル (CPC)
クリック課金モデルとは、自社のWebサイトから、対象のWebサイトへ送客をしてあげる対価として収益を得るビジネスモデルになります。
【参考 価格.com など】
日本で一番有名な価格比較サイトの価格.comなども一部このビジネスモデルです。
商品を選ぶための情報を自社で作り上げ、購入意欲の高いユーザーを集めているからこそできるビジネスモデルですね。価格.comからのお客さんになら「1クリックいくら払うよ」と納得感を得られるからこそのモデルです。
Web ITのビジネスモデル④ アフィリエイトモデル(CPA)
アフィリエイトモデルとは、自社のWebサイトから、対象のWebサイトへ送客し、そこで成果を発生した際の対価として手数料を得るビジネスモデルです。
クリック課金と似てますが、送客だけでは手数料は発生せず、その後成果(通販サイトなら購入」した時点で報酬を得ることができます。アフィリエイト報酬は、「1回いくら」という固定価格もあれば、通販であれば「商品価格の数%」と変動なものもあります。
【参考 価格.com など】
クリック課金同様、日本で一番有名な価格比較サイトの価格.comなども一部このビジネスモデルです。購入意欲の高いユーザーを集めているからこそできるモデルですね。
Web ITのビジネスモデル⑤ 仲介モデル(CPL)
仲介モデルとは、自社のWebサイトから、対象のWebサイトへ問い合わせを発生させることで対価を得るビジネスモデルです。自社のWebサイトに問い合わせフォームを持つ場合もありますし、対象のWebサイトへ送客しそこで問い合わせフォームを持つこともあります。
基本的には④に包括される内容で、成果というのが「問い合わせ」というだけです。CPLという単語で使うことがあったので、そういう言い方をすることもあるかも?とだけ覚えておいてもらえると良いです。
【参考 HOME'S SUUMO 引っ越しサイト など】
不動産のポータルサイトでは、気に入った物件があれば、その仲介不動産屋に問い合わせを送ります。その問い合わせに対して、1回いくら、というビジネスを行っているのがこのビジネスモデルです。
そのため、各種不動産ポータルサイトは、ユーザーが問い合わせたいと思う物件に出会えるよう検索方法や選び方を分かりやすく提供していますね。
Web ITのビジネスモデル⑥ 定期課金モデル
定期課金モデルとは、1ヶ月いくら、という形でコンテンツやサービスを提供する対価として手数料を得るビジネスモデルです。
日本だとi-modeの時代に着メロなどで一般化し、今も様々なところで使われているビジネスモデルですね。
【参考 ニュースサイトやCOOKPAD など】
ニュースサイトは基本このモデルで、記事全文を読むためや、特別記事を読むには月額会員にならなければという形ですね。もちろんどこにでもあるニュースが配信されるサービスに月額料金を払ってくれるユーザーなどいないので、独自性のある記事があることや、新しい視点で記事がまとまっていることが必須ですね。
NewsPickというサービスがあるのですが、月額1000円以上しますがユーザー数が順調に伸びておりすごいサービスと感じているものがあります。私も有料会員に成っているのですが、オリジナル記事の内容が素晴らしく、量もかなりあるので、金額に納得のサービスだなと感じています。
皆さんも是非一度見てみると良いと思います。
Web ITのビジネスモデル⑦ ASPモデル
ASPモデルとは、インターネット上からサービスを動的に配信し、利用料を支払うことでサービスを提供することで収益を得るビジネスモデルです。
【参考 Evernoteオンラインストレージサービス、ADOBEのソフト など】
Evernoteは、クラウド上のストレージサービスを提供していますが、月額料金を支払うことで追加容量を提供しています。また、ADOBEのソフトも最近はインターネット上からソフトを配信し、月額支払いにより収益を得ています。
このような仕組みをASPモデルと言います。なお、ASPはApplication Service Providerの略になります。
Web ITのビジネスモデル⑧ CtoCモデル
CtoCモデルとは、個人間でやり取りを行うプラットフォームを提供することで収益を得るビジネスモデルです。なのですが、モデル自体は①〜⑦のビジネスモデルが基本です。個人間のサービスの話をしたかったので切り出しましたが、①〜⑦のモデルで、個人に提供することも増えているんだよということを認識してもらえると嬉しいです。
【参考 ヤフオク、メルカリ、AirBnb、ココナラ など】
昔からあるもので一番身近なものとしてはヤフオク、最近ではフリマアプリとして一番の地位を気づいたメルカリでしょうか。
メルカリでは、個人が簡単に出品することができ、購入も事業者が仲介することで安心して行うことができるサービスになっています。ビジネスモデル自体は物販モデルのマーケットプレイスモデルで、出品者が出品したものを販売した際に、「販売額の10%」を得る仕組みになっています。
ここも楽天同様に、No1フリマアプリというブランド力と、ユーザー数という集客力を提供する対価として手数料を得ています。最近、楽天のラクマも、本格的に力を入れ始めてきたので今後楽しみな市場かと思います。
物販のメルカリ以外にも、民泊のAirBnbや、サービスのCtoCココナラ、さらに車の個人間レンタルができるDeNAのAnycaなど続々CtoCサービスがでてきました。
中間業者を抜くことで、利用者には安くサービスを提供できるこのモデル、今後もっと増えていくこと確実と思いますので見守っていきたいと思います。
長くなりましたが、大きくはこれくらいのビジネスモデルを理解すること必須です。概要だけしか書けなかったので、個別のビジネスモデルの深堀はまた別途書きたいと思います。
では。