webディレクターマニュアル 必要なスキル・ノウハウ

Web業界10年目のWebディレクターのまとめ。必要なスキルや仕事に役立つノウハウやサービス分析など。

キュレーションメディアのビジネスモデルと作り方

キュレーションメディアのWelqが昨年末に炎上し、Web業界全体がバタバタとしておりましたが、まだ完全鎮火とはいかない状態ですね。

 

例の問題はさておき、これだけキュレーションメディアという言葉も有名になったので、どういうビジネスモデルなのか、まとめておこうかと思います。

 

キュレーションメディアって何?

そもそも「キュレーション」っていう言葉が分かりにくいですよね。簡単にいうと、「何かのテーマに沿って、情報を、まとめたサイト」だと思って問題ないと思います。

 

WelqはDeNAのサービスで、「ライトな医療情報」というテーマで運営されており、一番有名なMeryは「トレンドに敏感な女の子の情報」をテーマに運営されていました。

 

また、キュレーションサイトは、ライター登録すれば基本的に誰でも書くことができますので、「運営会社内のライター」と「外部のライター」両体制で記事を執筆しています。

 

このようなサイトをキュレーションメディアと呼びます。

 

昨年末のキュレーションメディアの炎上は何が問題だったの?

途中から問題的がすり替わった(燃え広がった)感も否めないのですが、以下のような流れで大炎上という認識です。

 

DeNAのWelq(ライトな医療情報のキュレーションメディア)に掲載されている医療関連の情報が、薬機法に違反しているのではないかと炎上。

 

【薬機法とは?】

「サプリや健康食品の情報で、勝手な医薬品的な効果効能をうたったらNGだよ」や「薬などを売る時には、名称や成分など、必要な情報を載せないとダメだよ」というような非常に大事な法律です。健康や命に関わる法律なので、重い罰則のある法律です。

 

薬機法の話から、「そもそも著作権違反じゃない?」と炎上

薬機法での炎上は「まあそうだよな」、と多くの人もふーんと思える内容だったのですが、著作権違反の問題に飛び火しました。

もちろん、100%真っ白なことをやっているかと言えば違うのですが、コレに関しては「ここ突っ込むと、Web業界全体で似たところあるかな」という位広い範囲に燃え広がったなという印象がしました。

その結果、Welqだけの問題でなくなり、DeNAが運営している10個のキュレーションメディア全てを止めるまでの状態となりました。そしてこの件はDeNAだけでは収まらず、リクルートサイバーエージェントの同様のサイトにも影響を及ぼしサービス停止や記事削除などの状態になっています。

 

③外部のライターに「1文字1円以下で書かせるとか最悪じゃない?」と炎上

①→②だけでも大炎上だなと感じたのですが、燃えたりないのか、「外部ライターへの支払い金額」にも言及が及びました。

ここも理由は「支払い金額が安いから、コピペのような著作権無視な記事になる」ということを前提だったのだと思いますが、外部ライターへの支払い額、外部ライターを探すためのプラットフォーム(クラウドワークス等)も批判の対象となりました。

 

 

本件については諸々詳しくまとめてくれているサイトが多いので、内容はこれくらいの概要のみですが、個人的には以下2点が驚く点でした。

① 薬機法での炎上から著作権について、ライター報酬について、まで広がったこと

② SNSの指摘から、一般ユーザーも巻き込みすごい速度で問題となったこと

 

これまでは見えなかった点も、すぐ一般ユーザーの方々にまで広がってしまうので、その逆鱗に触れてしまうとこうなるのか、、と自分も気を引き締めないとなと感じました。

 

キュレーションメディアのビジネスモデルについて

キュレーションメデイアがどのように収益化しているか、ビジネスモデルについて書いていきたいと思います。

 

キュレーションメディアによっては異なるタイプのものもあるかもしれませんが、基本的に収益のマネタイズポイントは大きく以下の3つになります。

また、メディアの立ち上げ時は①のみで、成長させるに従って②・③の収益もあげていける形なので、立ち上げからのフェーズごとにまとめていきたいと思います。

 

キュレーションメディアの収益ポイントをフェーズごとに解説

①アドネットワークでの広告収入

メディアを立ち上げてからしばらくの間は、まずメディアとして形を成すために、ひたすらメディアテーマに沿って記事を作成していきます。まずは記事作成数等をKPIに持ち、PVを大きくしていきます。

テーマによって獲得できるユーザー数も異なりますが、100万UU以上を目指すのが最初の壁になるのかと思います。

(例えばグルメや旅行系のテーマであれば1000万も可能と思いますが、ファッションであれば100万〜300万などテーマで幅があります。さらにニッチな場合は50万でもトップを狙えるので、テーマによって異なります。競合のボリュームから目標値を確認しましょう。)

 

この間の収益は、GoogleAdsenseなどのネットワーク広告で収益を上げています。

とは言っても、アドネットワークの収益はPVあたり0.3円くらいが平均ですので、記事を量産していく過程の費用は全く賄えず、事業としては完全に赤字で辛いフェーズだと言えます。

 

ただ、ユーザー数の頭打ちもなく、やればやるだけ伸びていくフェーズでもあるので予測通りに伸びているのであれば精神的にはモチベーションは維持しやすいフェーズでもあります。

 

②純広告収入

ある程度ユーザー数を集めることができ、メディアとして力がついてきてからは、各企業からの純広告やタイアップ広告を獲得することフェーズになります。

純広告はアドネットワークと異なり1件で100万〜1000万レベルの単価になるので、ここで大きいクライアントをつけられるようなメディアになると成功が見えてきたなというイメージです。

ただ、クライアントから広告を受注しても、最初はテストとして100万など低目の額でやることが多いと思います。クライアントからしても、初めての媒体で効果がわからないものに大きな額は投下できないので、この初めのテスト出稿で納得いく効果を出せられるかは大事なポイントです。納得いく効果を出すためには、「質の良いユーザー」がメディアに集まっているかです。

テーマに沿って、しっかり質の高い記事を提供し、メディアのファンを形成できれいてば、そこに掲載された広告もユーザーは信用して買ったりしてくれます。

逆に、普段いろいろな流行り物の記事でPVを集めているだけだと、PV数自体は大きくても、メディア自体のブランド価値が高くない状態なので、広告を出しても効果が出にくく、結果として伸びていかないケースもあります。

 

ですので、中長期的にメディアのブランド力をつけられるようにしていくことが必要ですね。

 

例のDeNAのキュレーションメデイアでもここまでのメディアは多くなかったので、簡単ではないことが分かりますが、このフェーズで安定的にクライアントが取れるようになってくると、事業も単月で黒字が見えてきます。 

 

アフィリエイト収入

最後はアフィリエイト広告です。

MERYも後半やっていましたが、MERYで紹介した紹介した商品がメディア上で購入できるようになっていましたね。テーマをしっかり固めて、メディアのファンを作ると、そこに来たユーザーを購入まで送客できる力のあるメディアになるのでその後は黒字が大きく出せるフェーズになります。

「あそこのメディアに載っていたから買った」のように、そこで買うこと自体がブランドとなるようなメディアになることが最終的なゴールになるのだと思います。

 

 

ざっくりですが、キュレーションメディアは以上のような形で作られていることが多いと思います。上場企業などでは、早期に売上を立て収益貢献をすることが求められますが、急ぎすぎてしまうことで、一旦ユーザーは獲得できているがコアなファンが作れずその後のビジネスに繋がらないということも多いです。

 

メディアというものは、時間をかけて少しずつ信頼を獲得していくものなので、外からの圧力があっても、最終的なゴールをきちんと説明して会社内や外部を説得していくこともWebディレクターには必要なのだと思います。

 

長くなりましたが、まだまだチャンスのある世界だと思いますので、記事ライティングとSEO領域で自信のある方は是非チャレンジしてみてください。